和菓子の椿 巣鴨 福島家の寒椿 奈良 御菓子司なかにしの南無観椿
とてもお世話になっている方が入院なさったと聞き、福島家の上生菓子を持ってお見舞いへ。
花の少なくなる11月、ツワブキやリンドウ過ぎて、街を彩りはじめるカンツバキとサザンカの花。
この時期になると、福島家のショーケースには、寒椿、山茶花、詫助、それぞれの姿を象った上生菓子が並びます。
実際の花よりふっくらと、淡い色で仕立てられていますが、しっかり形をつくるところに江戸の和菓子らしい美しさが感じられて、好き。
私にとって、最初に出逢った椿の和菓子は、奈良にある御菓子司なかにしの南無観椿でした。
奈良では1月に若草山の山焼き、2月の節分では元興寺の柴燈護摩会(火渡り)、3月は東大寺二月堂のお水取りでお松明が焚かれます。
厳寒期に火を焚き、厄を祓い、新しい年の平和と安泰を祈る。1月、2月、3月と続く奈良の火の祭りは、荘厳で見ごたえのあるものばかり。
3月のお水取りで、本尊に捧げられる椿の造花を象ったお菓子が南無観椿。1月の若草山の山焼きに行った時、既にお店に並んでいました。
赤い花びら3枚の南無観椿は、芯に黄身餡を使用。練行衆に敬意を表し、動物性素材不使用、白い花びら3枚の満願椿も作られています。
南無観椿の素朴で愛らしい花姿。抽象的に表現することの多い京都の和菓子、きっちり形づくる江戸の和菓子と、また違う味わいがあります。
万葉の大らかさを思い出させる姿が、深く心に刻まれて。この和菓子をいただいて、お水取りが終わる頃、山や里には桜の季節が訪れます。
Data
福島家 03-3918-3330 豊島区巣鴨2-1-1
御菓子司なかにし 0742-24-3048 奈良県奈良市脇戸町23
*山焼き前の若草山